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■ UL508AとSCCRの解説セミナーの開催。

2009年11月に米国シカゴで開かれたUL主催セミナーでのUL508AとSCCRの解説内容を出張説明を致します。

小グループセミナーの案内書をご希望の方、またご質問のある方は

以下のe-mail アドレスにてお問い合わせ下さい。

  info@almak-japan.com


■ UL508A 産業用制御盤の安全規格のトピックス等

2011.12.9

UL508Aによる制御回路の保護について

制御回路の制御トランスやDC電源ユニットの2次側の過電流保護機器(例えばCP)を不適当な電流値で選定した設計を見かけますので、北米向けでは特に注意が必要です。

制御回路を過電流保護する目的は火災防止のため短絡・地絡保護することであり、言い換えれば機械装置の異常時には確実安全に停止させることであり、また接点溶着等による異常動作を防ぐことを主な目的としています。

UL508Aでは上記の目的で制御トランスや制御回路を保護するために具体的な定格電流値で過電流保護するように規定しています。すなわち、制御トランスの1次側と2次側の過電流保護機器の定格電流値は表42.2により選択するように規定されています。

表42.2

トランス1次側

1次巻線の定格電流値 rA       9A以上  2~8.99A  2A未満

1次巻線の過電流保護機器(rAの%)  250%   250%    250%

 

トランス2次側

1次巻線の定格電流値 r2A       9A以上  9A未満

1次巻線の過電流保護機器(r2Aの%)  125%   167% 

 
注記:計算値が標準定格電流値に合致しないとは直近の大きい標準電流値を使用できる。

42.1.3.2項により

制御トランスの2次側の過電流保護は

a)      表42.2による1台の過電流保護機器で構成される。または

b)      電流値の合計が表42.2の最大電流値を超えない複数の過電流保護機器で構成される。

 
例えば、1次側460V、2次側120Vの単相1000VAトランスの保護について、1次側の過電流保護機器(分岐回路保護機器UL489等)は表42.2より1次巻線の定格電流2.17A x 2.5 = 5.43A (直近上位で6A)を選択、2次側の過電流保護機器(補助的過電流保護機器UL1077等)は表42.2より2次巻線の定格電流8.33A x 1.67 = 13.9A (直近上位で15A)を選択することになります。

上記の制御トランスで2次側を複数回路の過電流保護機器で構成する場合には合計15A以下となるように配置することが求められます。

例えば、トランス2次側に3Aの過電流保護機器を5台(3Ax 5回路 = 15A)で並列に配置できる。

しかし、2次側の回路によっては、3Aの過電流保護機器を8台(3Ax 8回路 = 24A)で並列配置する必要が生じたとき、この制御トランスの2次側をまず1台の15Aの過電流保護機器で保護し、この過電流保護機器の負荷側に3Aの過電流保護機器を8台(合計24A)並列に配置することで対応します。

制御トランスの2次側に複数の回路を要求する理由はその制御回路の補助リレー等の接点の溶着を保護できるように過電流保護機器を選定することによる。すなわち、制御機器には接点定格が1A、0.5A、10A等のように多種あり、それら回路での主に地絡事故による接点溶着を保護するため複数の制御回路とそれに応じた過電流保護機器が必要となります。

以上


2011.11.17

UL508Aによるモーター負荷回路の過電流保護機器の定格電流値の選定について

モーター負荷の分岐回路用の過電流保護機器(サーキットブレーカ、ヒューズ等)は算定計算値(UL508A 31.3.1項)に合致するリステッドされた定格電流値を選定する必要があります。しかし、その算定計算値がUL489(サーキットブレーカ)やUL248(ヒューズ)等の過電流保護機器の標準定格電流値(UL508A 31.3.8項に各種標準定格電流値が規定されている)に合致することは稀なことであります。そこで多々過電流保護機器の標準定格電流値の選定に際して誤解されて設計されていることがありますので注意が必要です。

分岐回路の過電流保護機器を選定する場合のモーター負荷の定格電流値はモーター銘版に記載されている全負荷電流値FLCではなくUL508Aの表50.1(交流モーター)、又は表50.2(直流モーター)に記載の定格電流値FLAを使用することをNFPA79だけでなくUL508A 31.3.1項にも規定されていることを以前にも説明しております。

然しながら、UL489(サーキットブレーカ)、UL248(ヒューズ)による過電流保護機器の各種標準定格電流値は規定されており、算出計算値による電流値がその標準定格電流値と合致することは稀なことであります。このように電流値が合致してない場合、UL508A 31.3.7項の規定に従って選定される過電流保護機器は算出計算値に近い次の大きい標準定格電流値とすることができると規定されていますので、例えば、算出計算値が72.5Aのときには標準定格電流値は80Aを選定することができるということになります。

参考例として、208V回路における小型交流単相モータ1/4HPの過電流保護機器の選定に関して、このモーターのFLAは表50.1により3.2Aであり、算出電流値は31.3.1項(ヒューズ: FLA x 300%)により過電流保護機器は9.6A(3.2A x3倍)以下を選定することになります。

従って、過電流保護機器(ヒューズ等)の標準定格電流値は6Aあるいは10Aを選定することができます。なお、31.3.7項の例外として過電流保護機器(サーキットブレーカ)が3.75A以下となる場合にはサーキットブレーカの標準定格電流値を15Aとすることができるとも規定されています。

上述のモーター負荷回路の起動電流に対して過電流保護機器10Aヒューズが対応できずトリップするような場合、このFLA 3.2Aのモータ-負荷にはどのような保護機器選定をすべきか悩むところです。例えばUL248のヒューズで保護する場合、UL508A 31.3.9(a)によって600A以下のFLCに対しては最大400%以下の過電流保護機器ヒューズを選定することが出来ると規定されています。

従って、モーター起動時に10Aヒューズでトリップする過電流保護機器については算出計算値を12.8A(3.2A x 400%)とすることができます。

よって、モーター負荷回路においてFLCが3.2Aに対応する過電流保護機器は10Aヒューズを選定できますが、そのモーター負荷の起動電流が大きくトリップする場合には前述の31.3.7項によって算出計算値12.8Aに近い次に大きい過電流保護機器(UL248ヒューズまたはUL489サーキットブレーカ)15Aの標準定格電流値を選定することができます。

以上

2011. 6/19

産業用機器のUL認証の有無を迅速に確認する方法について

米国へ輸出する機械装置や機器等を現地で使用するためには、OSHA(米国安全労働衛生管理局)より認定された試験・検査機関(NRTL)によって試験・検査され、それらの安全が確認されたものであることが求められます。すなわち、機械装置や機器等は試験・検査してパスしたことを表すListingまたは Listed された認証品が求められます。米国の現地では据付機械装置の使用許可の権限を有しているAHJによって検査されます。その判断基準は適用規格に従って設計製造または据付けられていることですが、特に使用されている機器や部品がNRTLによってListedされているかが重要なポイントとなります。使用している機器にNRTLの認証マークがない場合はそのULファイル番号等が求められますので、直ぐにその要求に対応できることが重要となります。その場合の迅速な対処法をお伝えします。

例えば機器のUL認証すなわちULファイル番号が判らず確認を要する場合は、最初に以下のULのHPにアクセスします。

http://database.ul.com/cgi-bin/XYV/template/LISEXT/1FRAME/index.htm

そして、このHPの[Certifications]をクリックした後、

[Online Certifications Directory]の以下のカテゴリの中で判る項目を入力します。

例えば、メーカー名の「Fuji」と国名の「Japan」だけでも迅速に検索できます。

 メーカー名 :Fuji

国名 : Japan

ULカテゴリー番号: DIVQ

ULファイル番号: E12345

 なお、機器や部品はUL508Aの付録SAのカテゴリ番号からも検索できますが、この番号の説明についてはUL規格情報の9/24付「UL認定品の製品ディレクトリで使用されているカテゴリによる識別について」に掲載していますので参照下さい。

以上

06/30

UL508Aの単一モーター負荷の分岐回路保護機器の定格電流値の選定について。

インバータ回路やセルフ保護コンビネーションモーターコントローラ回路を除いて、通常1台のモータ回路の保護遮断器はその負荷FLCに対して250%の定格電流値を選定するように規程されています。ただし、この定格電流値が標準定格電流値(31.3.8項参照、15A, 20A, 25A…..)に合致しない場合は1ランク上位の定格電流値を使用することができます。

ただし、250%の遮断器を選定してもトリップする回路についてはUL508A 31.3.9項の例外規定により、FLCが100A以下の場合は400%、100Aを超える場合は300%まで増やした遮断器を選定することができます。なお、モータ負荷のFLCが3.75A以下の場合は例外規定によって15Aの遮断器を選定することができます。また、FLCの決定に際して、負荷電流値のFLCはモーターの定格銘板ではなく表50.1、表50.2より選択することが決められていますのでご注意ください。

以上

1/25

UL508Aに従う移動可能な機械装置に接続する電線コードの選択で注意すること。

配置場所の移動を想定するポータブル機械や自立機械のコントロールユニットに接続する電源電線や負荷側電線は使用環境に適合した電線コードとコネクタ等を規格に従って選択することが求められます。

この場合、注意することはその電線コードがUL62「Standard for Flexible Cord and Cable」に適合し、またコネクタはUL498「Standard for Attachment Plugs and Receptacles」, or UL1682「Standard for Plug, Receptacles and Cable Connectors of the Pin and Sleeve Type」に適合するなどの環境に適合し、同時にその回路電圧に適合することが求められます。

また、機械装置のエンクロージャを貫通する箇所にはUL514B「Standard for Conduit, Tubing, and Cable Fittings」等を設けて、電線コードに傷や、引張りに耐えるような処理をすることが求められます。

電線コードは使用環境に適合したタイプの選択が求められますが、その電線コードの主なタイプ記号と意味を以下に述べます。

S :Synthetic-rubber insulated and jacketed. 600V定格 60℃。Jacketの材質によって90℃、105℃の電線コードとなります。

ST :S with T= Thermoplastic insulation. 600V定格、PVC (-20 to 60℃;-4F to +140F)。 Tが無い場合はSynthetic-rubber jacketタイプ。

SJT :ST with J= Junior Service, 300V 定格 60℃。(Jが無い場合は600V定格のhard service タイプとなる)

SJTO :SJT with O= Oil-Resistant jacketed. 耐油 300V 60℃。

SJTOO :SJTO with O= Oil-Resistant insulation. 強耐油 300V 60℃。

SJTOOW :SJTOO with W= Wether-resistant jacket (Outdoor または Wet location適用)。 屋外用、強耐油 300V 60℃。

SE :S with E= Thermoplastic Elastomer insulated and jacketed. TPE (-50 to 105℃;-58F to 221F)、600V 105℃。

 なお、工場屋内での移動を想定する機械装置と一体のコントロールユニットのエンクロージャーがULタイプ12、12K、13で、そこに接続する電線コードの回路定格が460Vのとき、その電線コードは600V定格の耐油電線コードのタイプが選択されます。例としてSO、STOタイプ およびPortable Power cable のG、PPE、Wタイプ等の電線コードが選択できます。      

以上

11/27

UL508Aに適合する産業用制御盤に設置される主電源サーキットブレーカ等の選定について

UL508Aに適合する産業用制御盤に設置される主電源サーキットブレーカ等の選定については充分に考慮する必要があります。特に主電源サーキットブレーカ等のON-OFF操作に関する機械的操作機構については30.4項に従ったものを選定することが求められますが、更に66.6.3項を追加して対応する必要がありますのでサーキットブレーカの選定には充分注意してください。

30.4項に規定されている主電源サーキットブレーカの機械的操作機構とは

1.       操作ハンドルの推奨操作方向は上下とし、UP位置をONとすること。

2.       操作ハンドルにはON-OFF位置を示す指示器を設けること。

3.       操作ハンドルはOFF位置で施錠できること。

4.       操作ハンドルの中心位置は運転床上201cm 以下とすること。

更に、66.6.3項に追加されている機械的操作機構とは

1. 操作ハンドルには制御盤の扉が開または閉位置にあっても容易にアクセスできること。

2. 操作ハンドルは制御盤の扉が開位置にあっても操作可能であること。

3. 操作ハンドルは制御盤の扉(開、閉)位置に関係なく付属工具等を使用せず操作可能であること。

4. 制御盤の扉が開位置でも主電源サーキットブレーカを施錠でき、ON(投入)操作できないこと。

以上から主電源サーキットブレーカの外部操作ハンドルは回転式に比べて上下方向のON-OFF操作が推奨され、OFF位置で施錠可能であることが求められます。更に制御盤の扉が開位置にあっても主電源サーキットブレーカをON-OFF操作ができる内部操作ハンドルが求められ、また外部操作ハンドルと同様にOFF位置で施錠できる内部操作施錠機構の設置が求められています。この規格に適合した主サーキットブレーカの操作機構を北米向け標準でラインアップしたメーカがありますので、その情報をご希望の方は当サイトよりお問い合わせ下さい。

以上

11/19

UL508Aによるスラッシュ電圧定格表示の電気機器(サーキットブレーカ等)の使用制限について

スラッシュ電圧定格についての質問がありましたので、その内容を記載します。制御盤の定格銘板に記載される電圧値は供給電源に接続される電気機器(主サーキットブレーカ等)の表示電圧定格値(各極の対地電圧値も考慮する)を超えないよう設計することが49.6項に追加規定されました。

従って、その電気機器(主サーキットブレーカ等)の表示定格電圧値が120/240V、480Y/277V、600Y/347Vのスラッシュ電圧表示であるとき、それぞれ各極の対地電圧は120V、277V、347Vとなり、制御盤に記載する電圧定格値は低い方の電圧を記載する規定になっていますので120V、277V、347Vとなります。 ただし、実際には低い方と高い方の電圧を含めた120/240V、480Y/277V、600Y/347Vのように制御盤の定格銘板に記載することが多いようです。

よって、3相3線式480Vのコーナー接地のデルタ結線となっている供給電源には480Y/277Vのスラッシュ電圧定格の電気機器(サーキットブレーカ)は使用できませんので注意してください。

理由はスラッシュ電圧定格のサーキットブレーカの各極の対地電圧が277Vであり、それに対して供給電源の対地電圧は277Vを超えて480Vとなるためです。

制御盤の設計をする場合は、通常供給電源の方式が不明の場合が多いと思いますので、確定している場合を除き、デルタ結線の電源方式を考慮することをお勧めします。

以上


11/06

制御盤で使用される電源しゃ断器の負荷側から電源供給する方法について

UL508Aの30.3.5項ではしゃ断器(MCCB等)の負荷側から電源供給はできないものと規定されています。

最近、制御盤の省スペース化などから分岐回路のグループ保護やブスバー・システムを利用することが多くなり、ブスバーの配置場所に苦労することがあります。その主な理由は電源しゃ断器の負荷側から電源供給することができないことであり、この規定が問題となっています。 ここに、電源しゃ断器の負荷側から電源供給できる方法があります。

その対応としては、その電源しゃ断器が“Line”,”Load”を表示するマークのないものであり、さらに57.3項に従って制御盤には負荷側から電源供給した電源しゃ断器が配置されていることを明示することによって使用可能となります。メーカによってはこの規定に対応したしゃ断器(MCCB等)がありますのでメーカにお問合せ下さい。

以上

10/28

UL508Aにおける動力回路の各モータ負荷での分岐回路ブレーカとサーマルの選定について

北米向け制御盤に適用される規格UL508A「産業用制御盤の安全規格」に従ったモータ負荷の分岐回路におけるブレーカやサーマル等の選定には特に注意が必要です。

分岐回路保護の選定に関する規定には種々の項目がありますが、負荷の種類や回路の状況によっては具体的な規定が適用されますので、選定には更に詳細な回路の確認が必要となります。選定の参考例として、今回は主電源保護機器(メインブレーカ)の選定に関する規定ではなく、一台の460V三相 1/2 HP モーター負荷のための分岐回路の保護機器(容量)の選定について、その適用される主な規定とその選定例を記載致します。

参考使用例:分岐回路保護機器に遮断器(MCCB)と別置きサーマル・リレーを使用の場合。

1. 保護機器の種類:どのタイプの保護機器を使用するか。31.1項、

   ヒューズ、MCCB(UL489に対応)、セルフ・プロテクテッド・コンビネーション・モーターコントローラ等

2. 保護機器の容量:以下を求める必要があります。

    分岐回路保護機器にUL489遮断器を使用の場合。 31.1.1項参照

    注意:UL1077のブレーカは使用できません。

    なお、グループ保護については別に規定されていますが今回は除きます。

   1) 分岐UL489遮断器の定格電流:  31.3.1項、表50.1参照

           モータ負荷の定格FLC (A)はHP定格より表50.1で決定する。

           例えば、1/2 HPモータの定格FLCは表50.1により1.1Aとなります。

           最大電流値(%) x FLCにより遮断器の最大定格電流値が算出される。 

           表31.1の遮断器Inverse-time circuit breaker より, 最大電流(%)は250%となります。

           最大定格電流値は 1.1Ax2.5倍で2.75Aとなります。

           よって、31.3.8項の標準定格電流値や31.3.9.d)項より、

           最大定格電流値に近い保護機器(遮断器)の定格電流値(容量)を選定する。

           従って、3P15A(31.3.7 例外2) の UL489ブレーカとするか、または最近ではモータ起動電流

           にも対応する小型のUL489のブレーカ3P1.5A~3P4A以下の選定が可能となります。

           参照:適用メーカ形式 http://www.klocknermoeller.com/faz/faz-d-na.htm

           また、上記に追加してSCCR値、スラッシュ電圧等を考慮して選定する必要があります。

   2) サーマル保護機器の配置場所: 各モータ回路に配置。34.3項参照

        サーマル定格電流値: 34.2項、表34.1参照

            サーマル・リレーはFLCx1.15倍以下を設定できる定格電流値の3素子サーマルとし。 

            即ち、1.27Aを設定できるサーマル・リレーを選定する。

3. 電線サイズ、端子台等の要求規格: 29.2項、29.6項、66.4項、66.5項参照

 以上

10/22

UL508A産業用制御盤の外部接続用の接地端子と接地電線の識別について

UL508Aによる産業用制御盤の外部接続用の接地端子と接地電線の規格はIEC、EN規格の電線色とは異なりますのでご注意下さい。

「外部からの装置用接地電線を接続する電線締付端子(Pressure wire connector)の識別は54.5項に従ってマーキングされる。

AWG10(5.3mm2)以下の外部からの装置用接地電線を接続するネジ端子台(Wire-binding screw terminal)の識別は54.5項に従って緑色にするか、あるいはマーキングによって識別すること。なお、接地用絶縁電線は緑色または1本以上の黄色ストライプが入った電線とし、この電線色は接地電線専用であり他の回路には使用しないこと。」と規定されています。

ただし、AWG4(21.2mm2)以上の太いサイズの絶縁電線であり、またSIS色基準等の絶縁電線が前述の電線色と異なっているとき、それら絶縁電線は各中継端子台で緑色テープを巻いて対応することができる。 なお、機器のリード電線はこれらの要求に従う必要が無い。

トランスや電源ユニットの二次側回路で接地する絶縁電線は白色または灰色で識別するか、緑色以外の電線色に3本の白色ストライプ入りの絶縁電線で識別すること。

ただし、AWG4(21.2mm2)サイズ以上の絶縁電線であり、前述と同様にSIS色基準等であるとき、その絶縁電線やSIS基準の絶縁電線は各中継端子台に白色テープを巻いて対応することができる。なお、機器のリード電線はこの要求に従う必要が無い。

UL508Aの54.5項について

装置接地電線端子は以下の識別方法の何れかによって表示すること。

a) 六角ヘッドで容易に緩まないネジによる、緑色の端子。

b) 六角ネジの容易に緩まないナットによる、緑色の端子。

c) “Ground”または”Grounding”の文字をつける。

d) “G”,”GR”,”GRD”,”GND”または”GRND”文字をつける。

e) 図54.1のシンボルをつける。

f) 装置接地用端子が端子台等の場合はc),d),e) をその上や近傍に表示するか、その端子台を緑/ 黄色とする。 両方による表示も可能。

以上

10/15

UL508Aによる鋼板製制御盤エンクロージャの鋼板厚さについて

鋼板製エンクロージャの鋼板厚さはUL508Aの表63.1(炭素鋼板、ステンレス鋼板)と表63.2(アルミ、銅、真鍮鋼板)による規定された厚さ以上であることが求められています。

無処理の鋼板厚さは電線管の接続部分を除いてエンクロージャの幅寸法が200mmのとき0.81mm以上、亜鉛メッキ鋼板厚さは0.86mm以上、非鉄金属の厚さは1.14mm以上と規定されています。ただし、表63.1によるエンクロージャのフレームの有無や幅寸法等によっても鋼板の厚さが異なりますので注意が必要です。

例えば、鋼板製のフレーム構造無しのエンクロージャで幅が600mmの場合は表63.1に従うと最小1.7mmの鋼板厚さが求められます。

ただし、例外としてUL50のエンクロージャが圧縮試験やたわみ試験に適合するときは電線管等の接続部分を除いて、この要求される鋼板厚さに従う必要がありません。

なお、国内で製作するエンクロージャはJIS規格の標準厚さが・・・1.0, 1.2, 1.6, 2.3, 3.2, 4.5mmとなっていますので、UL508Aに適合するためには表63.1や表63.2に従う必要がありますので注意が必要です。

以上


10/10

UL508Aによる産業用制御盤の制御回路のクラスについて

UL508A産業用制御盤の安全規格に従う制御回路には2.6項のクラス1回路と2.7項のクラス2の回路が規定されており、それに対応した機器と電線および配線方法を採用することが求められています。

なお、制御回路は制御機器を電気信号で直接運転するための回路であり、主電力回路とは区別され、通常、制御回路は15Aに制限されています。

クラス1の回路

600V以下の電圧で電力利用が制限されない電力回路において,過電流保護機器の負荷側に位置する制御回路、あるいはUL506によりULリステッドされたトランスのような電力限流機器の負荷側に位置する制御回路をいう。

なお、制限されるエネルギー回路において30Vrms 以下の絶縁された2次側回路の外部接続端子には「Class 1 control circuit」、「Use Class 1 conductors」、「For connection to a Class 1 remote control circuit」等の表示をすることが求められています。

クラス2の回路

UL1585によるクラス2でULリステッドされたトランスの二次側から供給される制御回路、あるいはUL1310によるクラス2でULリステッドされ、リモート制御あるいは信号回路等の目的で使用される制限される電圧(30Vrms又はそれ以下)と電流容量の定格の電源ユニットから供給される制御回路をいう。

このクラス2の回路は検査を要求されないが、その場合の配線は他の回路からバリヤ等で隔離され、同時に外部用接続端子も隔離され、またクラス2の回路で使用されていることを明示する「Class 2 control circuit」等の表示をすることが求められています。

以上


10/1

北米における標準配電方式について

米国で使用されている電源電圧は配電方式により標準公称電圧(Nominal voltage)が

ANSI C84.1 Electric Power Systems and Equipment Voltage Ratings (60 Hertz) により定められています。

公称定格電圧 Nominal voltage

単相 3線 240/120V 

         208Y/120V (三相4線のネットワークより)

三相 3線 240V デルタ 

          480V デルタ  

三相 4線 208Y/120V 

         240Y/120V

         480Y/277V

NEMA モーター銘板定格

115V

200V

230V

460V

以上


9/24

UL認定品の製品ディレクトリで使用されているカテゴリによる識別について

UL認定品と使用条件付のULリコグナイズド品の識別について、それぞれはカテゴリに分類されており、UL発行の製品ディレクトリのCCNを調べることでULリステッド品か、あるいはリコグナイズド品であるのか, 又はカナダ向けUL品であるかを容易に確認できます。

製品ディレクトリに記載されているCCNs(Category Control Numbers )により、その製品がUL Listed品かULリコグナイヅド品であるかを容易に識別できます。

UL Listed(認定)品のカテゴリは XXXX(追加記号なし)

UL Recognized(リコグマイズド)品は XXXX2(追加記号が2 )

カナダ向けUL Listed(認定)品のカテゴリは XXXX7(追加記号7 )

カナダ向けUL Recognized(リコグマイズド)品は XXXX8(追加記号が8 )

注:XXXXはアルファベット記号

参考:XCFR8は端子台カテゴリでカナダ向けULリコグナイズド品となります。

以上

9/6

UL508Aによるパワーサプライ機器の使用上の注意について

パワーサプライ機器の選定に関しての問い合わせがありましたが、パワーサプライ機器の二次側定格電流値の負荷電流で使用する場合には条件がありますので、UL508Aの42.2.3項「パワーサプライのサイズ」をご確認下さい。

パワーサプライ機器の二次側定格電流について、規定上その50%を超えて使用できないために50%の定格電流値以下の過電流保護機器を使用することが求められますのでご注意下さい。

ただし、UL508の機器としてリステッド認定されたパワーサプライ機器を使用する場合、あるいはパワーサプライ機器がエンクローズドされて電線管にて配線されている場合にはパワーサプライ機器の二次側定格の100%電流定格で使用することが出来ます。

8/19

産業用制御盤に要求されるSCCR短絡電流値の表示について

UL508Aによる産業用制御盤にはSCCR短絡電流値の表示が2006年4月25日より要求されていますのでご注意下さい。

SB4.1 短絡電流定格値の決定と表示について

Step 1 : 動力回路の全ての機器について短絡電流定格を求める。SB4.2参照

回路の使用機器にSCCR値が記載されていなかったり、あるいは不明な場合、Standard fault short circuit current rating(表SB4.1参照)が適用される。

Step 2 : 限流機器による短絡電流定格の修正の可能性を求める。 SB4.3参照

電力トランス(10KVA以下)と限流ブレーカ等の使用により対応可能。

Step 3 : Step1とStep2から最小のSCCRによる制御盤の全体の短絡電流値を求める。 SB4.4参照

制御回路の過電流保護機器もSCCR値が考慮される場合があります。

Step 4 : 制御盤の全体の短絡電流値と電圧を銘板に記入する。 SB5.1.1参照

8/6

「各電源引込みの主電源開閉器等の配置について考慮すること」について

UL508A 66.6.1項が「各電源引込みには主電源開閉器を備えなさい。」に「端子台の他には何れの機器も開閉器の電源側に配置してはいけない。」が2007年3月より追加改訂されましたのでご注意下さい。

NFPA79-2007の5.1.5項と5.1.6項より

各電源開閉器に接続される電源側引込み電線は他の全ての内部配線から隔離され、またその電源開閉器に接続する電源ケーブルは規定された配線スペース(NEC70-表430.10(B)、UL508A表25.1)が要求されています。

また5.1.6項(1)には制御盤の筐体壁(天板)に可能な限り近い場所(2.0m以下)に主電源開閉器を配置することが規定されています。

 主電源開閉器を制御盤の中央等に配置(2.0m以下)する場合については、5.1.6項(2)に従って電源ケーブルを保護するためバリアーを設置して安全のため他の内部電線と隔離することが規定されています。

7/25

ULタイプとNEMAタイプのエンクロージャの違いについて

NEMAエンクロージャのタイプとULエンクロージャのタイプとは同じではありません。その違いは、それぞれのNEMAとULのタイプの評価方法によって生じています。

エンクロージャの構造について、NEMAタイプが表示され、またメーカの設計がNEMA仕様の要求に合致しているとき、NEMAタイプの適合指定ができます。

ULタイプのエンクロージャは運転に際して要求される性能評価に等しい構造に耐えることであり、少なくともUL508Aに適合すべきエンクロージャはULタイプであることが求められます。

従って、NEMAタイプのエンクロージャはNEMA 250-2003規格に従っており、ULタイプのエンクロージャのUL 50規格とは要求内容が異なっています。

 なお、ULタイプのエンクロージャはUL規格によるエンクロージャ構造と電気機器等を取付けて運転する際に要求されるエンクロージャの性能の両方で評価されます。

エンクロージャの穴あけに際して

メーカは度々、大きさを気にしないで、穴を開けてエンクロージャの保護構造を変えることがあります。例としては銘板の取り付けのために穴を開けるとき、たとえ小さく、また目立たないような穴を開けたとしても、これらの穴はエンクロージャの保護構造を変えることになります。エンクロージャに穴を開け、適切な機器等で栓をしないときはエンクロージャのタイプが変わることになります。UL508Aの表19.1、19.2、19.3を参照。

以上


6/22

制御盤の電源開閉器とドアインターロックを必要しない回路が追加されました。

UL508Aにて追加訂正された66.1.5項では50Vac rmsまたは60Vdc以上の電圧を使用している制御盤のドアは電源開閉器をoffにしないと開放できない機械的構造でドアインターロックされることが求められています。

ただし、このインターロックの例外項目にて、保守用照明回路やメモリー保持電源を常時必要とする制御機器への電源供給回路についてはドアインターロックが要求されず、電源開閉器による遮断が必要とされません。その場合には「CAUTION」と文言「Risk of Electric Shock – It does not de-energized all exposed live parts when it is in the OFF position」等を追加した警告ラベルを備えることが求められています。

6/14

制御盤のUL認定ラベルの種類について

産業用制御盤のUL認定ラベルについての質問がありましたので、UL認定の種類について情報を提供いたします。

産業用制御盤のUL認定品マークの主なラベル種類

1. 筐体用 Industrial Control Panel Enclosure :筐体ケースのみの認定品に対するラベル

2. 密閉ケース用 Enclosed Industrial Control Panel:密閉制御盤・配電盤等の認定品に対するラベル

3. 開放ケース用 Open Industrial Control Panel:開放(組合せ用)制御盤・配電盤等の認定品に対するラベル

4. 据付場所用 Field Evaluation Product:制御盤・配電盤等が据付場所で評価された認定品に対するラベル

制御盤がUL認定品としてラベルを貼付されていない場合は、4項による米国現地据付での評価を受ける必要がありますが、その場合には原則1項の筐体がUL認定品であることと設計製作がNFPA79に従っていることが求められます。

なお、現地で据付けられる制御盤を含む機械装置はAHJ(現地検査官)によって検査され、Approveの判断にはそれらが少なくともNRTL(ULを含む)認定品であることが求められています。

以下、制御盤のUL認定ラベルのサンプルを参照下さい。

筐体用ラベル(ケースのみ)

密閉ケース用ラベル(配線装備済盤)

開放ケース用ラベル(配線装備済)

据付場所用ラベル(現地評価済)

以上

6/09

制御回路の非接地について規格が改訂されました。

UL508A 66.3.1項により機械装置の制御盤内の照明と機械作業用の照明回路に電源供給するトランスの二次側回路については4月26日のブログにアップしたように、第16章に従って接地することが義務付けられています。

また、66.3.2項が改訂され、制御回路で使用する機器(例:電子機器nPnタイプ)によってはn極を接地できない場合があり、機械装置の安全運転や感電保護のために求められる機能接地や装置接地を達成する保護ボンディング回路の構成(IEC60204-1,NFPA79 6章での感電保護参照)が困難となります。その対応として今回、地絡監視機器等を使用するという条件付で制御回路の非接地が可能となりましたのでご確認下さい。

参考:66.3.2項、非接地の条件について

制御トランスの二次側回路を他の機械装置や回路への供給に使用せず、本機械装置のみの電源として使用する場合にはトランスの二次側を16.1項に従った接地が条件つきで必要なくなりました。その条件とは制御回路の地絡を表示する地絡表示ランプや地絡監視機器、または地絡保護機器のような地絡発生において回路を開放する機器の設置が求められます。



5/27

可とう電線の接続に関する規格が追加されました。

UL508Aの29.3.11項が追加され、2007年3月1日より溶接機用ケーブルや”Flexing”あるいは"ClassK”と表示されているMTW電線を含む可とう電線の接続に際してはワイヤーコネクタの規格「UL486A-486B」に認定されたものを使用するように規定されましたのでご注意下さい。



5/20

グループ保護でのタップ電線サイズの算定法が追加されました。

2007年3月1日より、盤内で使用されるグループ保護に対応する電線サイズの算定方法がUL508A 31.4.3項に追加され、グループ保護で使用される分岐回路の電線サイズが追加規定条件に従った場合、負荷容量HPに応じた経済的な電線サイズの選定ができるようになりました。なお、グループ保護の分岐回路では通常UL認定された専用分岐端子台(入力電線数1本/出力電線数が複数本用等)を使用しています。



5/13

UL508Aの改訂により制御盤内の動力回路の最小電線サイズの要求が太くなりましたのでご注意下さい。

UL508Aでは2007年3月1日より制御盤内で使用される動力回路の最小電線サイズはAWG18(0.8mm2)からAWG14(2.1mm2)に改訂されましたのでご注意下さい。

なお、保護ブレーカ定格や電線サイズを算出するために基本となるモーター負荷の定格全負荷電流値(FLC)はモーターの定格銘板に記載されている電流値ではなく、表50.1や表50.2のFLCを使用することになっており、検査ポイントの重点箇所となっていますので、重ねてご注意下さい。

また、UL認定された機器(トランスなど)のリード電線の最小サイズについては規定外となっています。



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UL508Aで要求された制御盤の短絡電流値の表示について

昨年2006年10月の米国サンノゼで開催されたUL508AとSCCR(短絡電流定格値)のセミナーにて解説されたSCCRの内容について、その情報を一部提供いたします。

UL508Aの付則SB4項の「定格値」に従って、2006年4月25日以降に製作される産業用制御盤は短絡電流定格値の表示が要求されることになりましたのでご注意ください。なお、制御回路における短絡電流定格値の適用については同様にULのSB規定に従って適用することになります。

表示する短絡定格値の決定に際して、最も簡単な方法としては盤内で使用される端子台や電気制御機器の中で最も小さい短絡電流値を適用することですが、その使用する機器の短絡電流定格値が不明な場合は表SB4.1による機器の短絡電流値を適用することになります。

制御盤に要求される短絡電流値が25KA, 30KA, 50KA等のように高い場合には、使用する機器の仕様を上げて短絡電流値を高くする必要があるため、その結果としてオーバースペックの機器となり高い価格の設計となります。

その対応としては、限流機能付の機器を使用することになりますが、その機能の付いたブレーカ等をULの規定に従って使用することによって、その下流のブレーカの短絡電流定格値を低く抑えることができ、結果的に価格を安く設計することができます。

なお、上述に加えて同時に各ブレーカとその電線ケーブルとの協調もULの規定に従って対応することが求められていますのでご注意ください。





4/26

UL508A16章でPower Supply の二次側接地の規定が追加訂正されました。

2007年3月1日より、UL508Aの16章が追加訂正され、Power Supply の二次側の接地方法が新たに規定されました。

Power Supply について、そ の一次側電源が対地電圧150V以上、またはその電源電圧が接地されていない場合で、二次側電圧が50V以下のときには、二次側の一線を接地すること等が追加規定されましたのでご確認下さい。


 
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