UL508AによるSCCRの決定方法について

北米に於いてSCCRの表示はOSHAによりNEC 409章により規定され、さらに産業用機械に対してもANSI/NFPA79に従い銘板に表示することが義務付けられました。このSCCR値の具体的な対応としてはUL508A SB4.1項によりその算定もしくは決定法が規定されています。

 

通常、装置が設置される現地に於いては、エンドユーザーよりSCCR値の情報が入手できますが、工場等の計画段階では決定されていない場合が多々あります。

その場合の対応としては工場の計画されている設備トランス容量からSCCR値を算定することになります。また、国内の機械装置メーカさんは480V回路への対応が負荷機器の選定から困難なことが多々あり、通常は200V回路とするために480/200Vのダウントランスを電源用として設置することが多いようです。

この電源トランスを設置する場合、その要求されるSCCR値はUL508Aによって算出することができます。その算出には以下の4つの方法が規定されています。

 

  1. トランスの%Zの情報がある場合。SB4.3.1 a)

     SCCR値=FLC/%Z

  1. トランスの%Zが不明、あるいは%Zが2.1以上の場合。SB4.3.1 b)

     SCCR値=FLC/%Z (%Zは2.1とする)

     または表SB4.3(単相トランス)、表SB4.4(三相トランス)より決定される。

  1. トランスの負荷側の全ての動力回路機器の最小SCCR値の情報がある場合。SB4.3 .1 c)

     その最小の機器のSCCR値となる。

     なお、SCCR値が不明の機器がある場合はUL508A 表SB4.1を適用する。

  1. フィーダCBが「Current Limiting」タイプの場合。SB4.3.2

     SCCR値は通過電流Let-through currentによって限流することができ、負荷側の機器が全てその通過電流に対応できる条件(機器のSCCR値が通過電流値以上)にて、

     さらに各分岐回路過電流保護機器OCPD(CMC;Combination Motor Controllerを含む)がフィーダCBの遮断定格電流値以上のとき、フィーダCBの遮断定格電流値がSCCR値となる。

     他方、先の条件にて、各分岐回路過電流保護機器OCPDの遮断電流値がフィーダCBの遮断電流値より小さいとき、最小のOCPDの遮断定格電流値をSCCR値とすることができます。

以上

<追記>

上記詳細は12月5日のNFPA79セミナーで具体的に解説します。

なお、この%ZによるSCCR値の算出法についてはIEC/EN規格にも適用することができます。