米国向け制御トランスの容量選定について注意すること

先日、制御回路用トランスとして単相5kVA(二次側120V)を備えた米国向けの制御盤を見ましたので、トランス選定には注意して下さい。

 

NFPA79 9.1.1.1項によると制御回路電源の絶縁トランスは二次側120V以下であって短絡・地絡故障電流が1000Aを超えない容量であるものと規定されています。

例えば、制御トランス容量の%Zを2.4%と仮定し、二次側電圧を120Vとした場合にトランス端子間の短絡電流は約869Aとなり制御トランスの容量は2500VA(2.5KVA)がほぼ最大容量となります。従って、単相5KVAの制御トランス容量の選定については、短絡・地絡故障電流が1000Aを超えることになり選定に注意する必要があります。

 

逆に云うならば、制御回路が120V以下で短絡・地絡故障電流が1000A以下の電源回路の場合には制御トランスを省くことができると云うことです。

 

なお、以上の要求を含めてNFPA79 7.2.4.2.2項にて制御回路に対する過電流保護機器の定格は20A以下(40A選定不可)にて保護することが規定され、電線サイズ(14AWG, 16AWG, 18AWG)の定格電流に応じて、それぞれの保護機器定格(20A, 10A, 6A)で保護することが求められています。

ただし、制御回路電源容量が5kVAを必要とする場合には、制御トランス2.5kVAを2個とする等の回路設計が必要となります。

 

他方、動力トランス3相5kVA において二次側が単相中性点接地タイプの3相4線式(240/120V回路)の場合、単相120V回路(2.5kVA以下)を制御回路として使用することができます。ただし、その分岐回路用の過電流保護機器はUL1077ではなくて制御回路に於いてもUL489の定格20A以下の過電流保護機器を選定する必要があります。

以上

 

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