北米向け機械装置の装置接地回路の装置接地電線サイズの選定について注意すること

装置接地回路はNFPA79 8.2.1項によると「装置接地回路は装置接地端子と装置接地電線(導体)および装置ボンディング・ジャンパーによって構成されている」と定義されており、また8.2.1.1項によりこの装置接地回路の全ての部分は短絡・地絡による事故電流に対して充分耐えられるものであることと規定されています。国内の制御盤設計に際しては短絡・地絡電流を基準に接地電線サイズを選定することはほとんどないものと考えますが、欧米の場合の接地電線サイズを選定する際には充分注意をする必要があります。

前回ブログで解説した電線サイズの選定と同様に、NFPA79 8.2.1.1項の装置接地回路は熱的(I2t)・機械的(ID)なストレスに耐えることを求めており、これは制御盤に表示されるSCCR値に必ず適応すべきものであることを意味しています。即ち、事故電流に耐えられるべき制御盤のSCCR値は装置接地回路に於いても関連して設置される過電流保護機器OCPD(MCCB, Fuse等)の特性によって装置接地回路の電線サイズが選定されるものであり、そのSCCR値は装置接地回路に関連する過電流保護機器とその接地電線サイズとの協調が満たされていることを意味しています。

 

なお、装置接地回路に関連して設置される過電流保護機器(OCPD)とは、例えばモーター分岐回路の場合、その分岐回路の装置接地回路(モーターに接続される接地電線)の接地電線サイズは「分岐回路のOCPD」の遮断特性により協調している接地電線サイズが選定されます。また、電源供給回路の場合、その電源供給回路の接地回路の接地電線サイズは「電源主回路のOCPD」の遮断特性により協調している接地電線サイズが選定されます。

 

以上のように各OCPDのI2t特性曲線を活用して、接地電線サイズを決定することができますが、NFPA79では表8.2.2.3項に従うことで、簡単に過電流保護機器OCPDの設定値によって装置接地回路の最小電線サイズを選定することができます。ただし、それらOCPDはUL認証品であることが求められますので、注意して下さい。

例えば、モーターの分岐回路OCPDが20Aであるときには表より装置接地回路の接地電線サイズは12AWG以上を選定することになります。また、制御回路のOCPDが10Aの場合には装置接地電線回路の接地電線サイズは16AWG以上を選定することになります。

なお、電源OCPDが100Aの場合には盤内の装置接地回路の電源や接地バー及びジャンパー電線の接地電線サイズは8AWG以上を選定することになります。

以上