北米向け動力回路に於ける電源供給コネクタ(UL2237)のSCCR適用について

北米向け制御盤の設計に際して、制御盤から負荷機器やサブ盤に電源供給するケーブルは通常では端子間接続配線となりますが、最近では電力供給用ケーブルコネクタによる配線が多くなっており、その電力ケーブルコネクタのSCCR要求への対応をどのようにすべきなのかとの問い合わせが多くなっています。

 

ANSI/NAPA79に従い制御盤はSCCR値の表示を求めていますので、動力回路に設置される機器は全て(トランス・リアクトル等除く)SCCR値が要求されています。従って、動力電源供給コネクタは端子台と同様にSCCR値への対応が必要となっています。

 

弊社が2009年に米国サンノゼでのULセミナーに於いて端子台のSCCR値要求について質問した際には「分岐回路のSCCR値は端子台等を含めた機器と過電流保護機器(フーズ・ブレーカ等)の組合せSCCR値がUL機関等によって認証されていること」と回答されています。

 

従がって、分岐回路は過電流保護機器(ブレーカ等)とコンタクタ・サーマルとの組合せSCCR値認定が必要であり、さらにブレーカ等と端子台との組合せSCCR値もUL認証が求められています。

然しながら、現状としてはブレーカと端子台との組合せSCCR値は特定の端子台メーカしかUL認証を取得しておらず、端子台の選択肢は少ない状態となっています。

 

今回の問い合わせである動力回路に於ける電源供給コネクタのSCCR値の適用についても、端子台対応と同様にブレーカ等との組合せSCCR値への対応はコネクタメーカーが公表しているように当然のことになります。ただし、ブレーカと電源供給コネクタの組合せSCCR値が認定されているメーカは端子台と同様に非常に少ないのが現状です。

 

米国に於いては、制御盤等の分岐回路の過電流保護機器は殆どがヒューズ保護で対応しているためにブレーカとコネクタの組合せは多くなく、ヒューズ保護を主とする米国にとってはそれほど大きな問題とはなっていないようです。

 

国内に於いては、ブレーカと端子台との組合せSCCR値がUL認証されていない状態で米国向けに制御盤の設計製造のされていることもあるようであり、また今回の問題となっているブレーカと電源供給コネクタの組合せSCCR適用を含めて設計者の間で混乱しているようです。それらの対応策としては分岐回路にヒューズ保護を適用することが考えられますが、それ以外ではコネクタメーカーのブレーカとの組合せSCCR認定品の供給を待つことになります。

 

従がって、ULサンノゼで回答されたように制御盤のUL認証(UL508A)を求めるのであればブレーカと電源供給コネクタの組合せSCCR値はUL検査官の判断となります。それ以外のUL認証を受けない制御盤については現地AHJの判断に依ることになります。

以上